『Lyrical-chips』/川村 透
 

水玉模様の衣擦れが、ラジオみたいにささやくと
君の二本の指が、ささやかな羅紗切鋏、になった


--Lyrical-chips


ああ、もっと
もっと細く屹立する水色の小さな約束があるといい
扇型に開いた僕を閉じて

扇型に君を開いて、僕を閉じて

僕を閉じて
君を開いて


--Lyrical-chips


 「不幸は、ちゃんと、蜜の味がするから」

 「僕たちはそれでもどこか、うれしいんだと思う」

 「メイプルシロップ、な朝、傷口が輝きはじめた」

 「水玉模様の衣擦れが、ラジオみたいにささやく」

 「朝の腕を、花束のように抱
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