みどりに みどりに/木立 悟
はいいろ
ぎんいろ
雲の上に
雲がのるいろ
錆びた欄干がぱらぱらと曲がり
きんいろとむらさきいろを抱き寄せて
ゆくあてのない歩みを照らしている
置き去りにされた水から立ちのぼる
いろを持たない思い出や
誰にも尋ねることのできない音が
待つもののない顔をして
森の向こうを見つめている
棄てられたみどりは野に沈み
ふたたび花に生まれる日まで
静かな水草の時をすごす
滴を滴のままつまむしぐさを
水の底にくりかえす
ひとときの細いひらめきから
手のひらの傷から川は生まれ
幾つかの標を流し去り
大きく離れた両岸の火を
海の裾ま
[次のページ]
戻る 編 削 Point(4)