詩人の墓前に祈る 〜北鎌倉・東慶寺にて〜 /服部 剛
ながら
詩を読む独りの時間の尊さを感じていた。
約五十年前の詩学に載っている故・黒田三郎氏の詩の下には、本
人の詩について思うことが語られており、
詩をかくということには、やはり何か心を慰めるものが
あるかもしれない〜詩というものはそれをよむひとを
(人間の・自分自身の)卑小さから解放するものだと
僕は思う。*
詩学の項を閉じてテーブルの上にそっと置いた僕は、店のガラス
の壁の外の日も暮れかけた閉店時刻の午後五時前に一編の詩を書い
た。自らの寂しさを慰める為に、そしてあわよくば、この一編の詩
に封じこめた慰めの言葉が時を越える旅路
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