詩人の墓前に祈る 〜北鎌倉・東慶寺にて〜 /服部 剛
旅路の果てに、一人の読者の
胸に届く日が来ることを切に願い、祈りながら。
レポート用紙に詩の草稿を終えた僕は、テーブルの上に置いた様
々な詩人のこの世での想いが封じ込められた詩集と詩誌を鞄の中に
しまい、伝票を手にレジへと歩いた。店員の二人の中年おばちゃん
に「今日は詩人・文人の方々のお墓参りに来ました。僕も本を作る
んですけど、ご利益あるかなぁ・・?」と笑って話すと、ふたりの
おばちゃんも声を揃えて笑った。
店の外に出て、すでに木の柵が置かれて締められた境内の門の向
こうの暗くなった山の中で眠る、詩人・文人の魂に合掌し、日が暮
れた夜空を仰ぐと、山の上には{
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