詩人の墓前に祈る 〜北鎌倉・東慶寺にて〜 /服部 剛
五年の北鎌倉の喫茶
店の中で読書をする僕の胸に届く・・詩人とは、時を越えて一人の
読者への旅路を歩む人のことをいうのだろう・・・。
そして、黒田三郎という孤独な詩人の呟きを想うと、もう何年も
前に鎌倉文学館に行った時に飾られていた故・堀口大學氏直筆の色
紙に書かれていた
「 詩人とは 独りで じっと いることだ」
という言葉が思い出される。昨日僕が大阪の友人に送ったメールに
「独りでいる時間が、その詩人を決める」と書いたのも、その言葉
が深く胸に残っているからだろう。そして、T氏がすでに帰った後
の、僕の他に客の無い閉店前の喫茶店で、時々紅茶を口にしなが
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