詩人の墓前に祈る 〜北鎌倉・東慶寺にて〜 /服部 剛
じている本音を伝えると、Tさんは「な
るほど・・・」と何度か頷いた。
約一時間話し、お互いのティーカップが空となり、T氏は「そろ
そろ戻らねば・・・」というので店の出口まで見送り「詩集・・・
よろしくお願いします・・・!」と頭を下げ、互いに笑顔で別れた。
店の席に戻り一人になった僕は「高見順詩集」や現代の詩人の中
で尊敬している上手宰氏の詩集「夢の続き」をテーブルの上に置き、
さきほどT氏に見せた約五十年前の「詩学」の中でT氏が好きだと言
っていた故・黒田三郎氏の詩を読んだ。
それを僕は夢に見たのか
それとも五階の窓にもたれて見下ろしていたのか
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