ナイーヴな歌・普通の歌(ジャクソン・ブラウンの歌に絡めて)/岡部淳太郎
 
とである。久しぶりにジャクソン・ブラウンを聴き返して、その歌の持つ「力」に惹かれながら、ふと思いついたのだ。僕が自分の書く詩に対して抱いている思いは、ジャクソン・ブラウンの自らの歌に対する姿勢と似ているのではないかと。
 ずっと昔から、誰かのために詩を書きたいと思ってきた。それは特定の誰かだったり、自分自身だったりしたのだが、それよりも、社会の中のどこかに生きている見えない無名の誰か、淋しさを感じ、人とのつながりを求めながら果たせず、自らの言葉を伝えるすべを持たない、社会や周囲の人びとに違和を感じ、何ひとつ成し遂げることが出来ず、それでも何とか生きていこうとして、ぶざまにあがいている、もしかした
[次のページ]
戻る   Point(7)