ナイーヴな歌・普通の歌(ジャクソン・ブラウンの歌に絡めて)/岡部淳太郎
値する発言だと思う。ブラウンの言う「プリテンダー(仮面を被った者、本当の自分を隠して何かのふりをしている者)」とは、理想を追い求めて挫折した者であると同時に、社会の中で生きるごく普通の人びとのことでもあるのだろう。恐らくブラウン本人は、自分を「理想を追い求めて挫折した者」として見ていたのではないだろうか。理想を求めた結果、たどりついた普通の生活。しかし、彼の歌声からは、そんな自分だからこそ、普通の人びとの人生をうたえるんだという、確信というか自負というか、そんなものが聴こえてくるような気がする。
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ジャクソン・ブラウンをネタにして、いったい何を言いたいのかというと、自分の詩のことで
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