ナイーヴな歌・普通の歌(ジャクソン・ブラウンの歌に絡めて)/岡部淳太郎
 
〇〇五年十月)発売された彼の〈Solo Acoustic vol.1〉と名づけられたライブ・アルバムを聴いたのが、きっかけになっている。そこには、デビュー以来のブラウンの代表曲が、彼自身のアコースティック・ギターやピアノの弾き語りによって収められている。このアルバムを聴くと、装飾のないアコースティックの生演奏ということもあってか、歌自身が持つ「力」がすんなりと耳の中に入ってくる。
 ジャクソン・ブラウンの初期の歌は、青年の淡い憂愁や皮肉を詩的表現の中に溶かしこんだものが多い。その視線は一様にナイーヴで、純情で少し知的で気弱な青年が、ぼそぼそとひとりごとをつぶやいているようにも聴こえる。デビュー・
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