「ぶらっくほーる」/shu
 
墨汁を吹き付けたような闇の中に点滅するおれの体。黒いヤツは胸元から顔を出してなんだか嬉しそうにあかりをまぶしそうに見つめてきゅんきゅん鳴くので自販機んとこに捨てちまおうかと考えて立ち止まったら急にそいつの目がまん丸になって震えだした。気がつくとそこは別れた彼女のマンションの前ではないか。ああこいつはあいつのものなのか、さてどうしたものかと錆びた螺旋階段を登ったり降りたりしているうちにあいつの部屋の電気が急につくもんだから慌ててそのまま屋上にあがってしまった。空にはまん丸の月が昇っててさてまあホントにどうしたもんかと黒いヤツを見るといつのまにかさなぎみたいにまん丸になってボーリングの玉のようにエライ
[次のページ]
戻る   Point(1)