ゆきがふる/雑魚ヒロシ
ちがこれでいいのかについてなんて、
考えたことも無かったと言う。
指先が微かに震えて、
微かに震える度に、
大切なものが零れていくのが見える。
僕はそれを指ですくうのに、
それは触れた瞬間に消えてしまう。
ふっ、と。
あまりにも、ふっと、瞬間に。
瞬間に。
ゆきが。ふ。る。
冷たい。
冷たい、と語りかける、
僕の傍で、
僕の身体は、たたかっている。
僕の身体はたたかっている。
僕はそれを、とても愛しく思う。
僕は酷く眠い。
酷く眠くて、心地いい。
僕の身体は、ここにはなくて、
僕の感覚が、雪虫のように、
ふわふわとあたりを飛び回っている
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