ゆきがふる/雑魚ヒロシ
いる。
見えないものと戯れる子。
真夜中の珊瑚の触手。
僕は蒼く深い闇の中の、
ことさら蒼く、深い部分へ、
僕の手を伸ばす。
何かに、触れる。
ゆ、き。が、ふ:る。
ね、
僕と話をしようよ。
誰かが、こう言い出すと、
青い青い炎が焚かれて、
とても静謐な温度が広がる。
ひとつの波紋が、
街を静かに塗り替えてゆく。
頭上に広がる、遠い遠い空の向うに、
誰かの笑顔がちらちらと光る。
僕の知っている人の。
誰かの知っている人の。
そこから零れたものは、
目を離すとすぐに消えてしまって、
そこにあるところにだけ、
零れている。
僕たちは静か
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