チューリップ刑罰/黒田康之
チューリップの茎切り落とすきみひとり満たしきれない刑罰として
明日から黄色い花のカップにはお日様だけをそそぐと決めた
春の日と呼んでみたけど私の影はきみの影よりずっと寂しい
長すぎるきみの背後の影のように過ぎたるものは沈めてしまえ
あの部屋の広い窓から切り取った空の写真で埋められた街
唐突な深夜二時過ぎ メレンゲは青白い肌のとおりに色づいてくる
この犬を抱き上げたいと請うきみの泣きそうな顔 素晴らしい脚
駅からは何回かKISS 川沿いの外灯の闇何回かKISS
ふくよかなきみの乳房を見る時はTVの中に夕映えがある
立ち止まることはできない人波
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