詩を読まない詩人への手紙/岡部淳太郎
 
出してくれたら良いなと思っているから、君にも素晴らしい詩を書いてほしいんだ。もし、君が、これまで詩の歴史の中で誰も書いたことがないような、すごい詩を書いてくれたら、僕はそれを素直に喜ぶよ。同じ詩を書いてる人間として、少しは嫉妬するだろうけど。
 いま、詩の歴史という言葉を使ったけど、君は詩についてどれだけのことを知ってる? 以前から君は、他人の詩をあまり読まないと言ってたね。君の得意そうな(あるいは申し訳なさそうな、かな?)笑顔の前で、いつも言うのをためらっていたんだけど、他人の詩を読まないことは、詩を書く人間として致命的なことだと思うよ。あるいは、君は自分が詩を読まないことについて、読む暇がな
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