詩を読まない詩人への手紙/岡部淳太郎
 
がないとか、自分の詩の中に他人の言葉が入ってくるのはいやだとか、いろいろ理由をつけて、正当化しようとしているかもしれないけど、僕に言わせれば、そんなものは詭弁に過ぎないよ。たとえば、君がものすごく実験的な詩を書いてやろうと思って、得意気にそれをみんなの前に差し出したとしても、君の書いたその実験的な詩は、既に誰かが書いたものの亜流にしか過ぎない、そんなことも起こりうるわけだよ。つまり、君は詩を読まないから、詩の歴史を知らないから、君の詩が、偶然、歴史上の詩のどれかとバッティングしてしまう可能性がある、ということなんだ。
 それは、とても恥ずかしいことだとは思わないかい?
 少しきつい言い方をして
[次のページ]
戻る   Point(14)