尾崎喜八「山の絵本」を読む/渡邉建志
たい。彼女は幼稚園でフランス語を習っている。それを忘れさせたくないので自宅でもなるべく日常この外国語を言わせている。彼女の語学の習得が、未来における彼女自身の運命の開拓に役立つことを。やがて親である私たちはこの世からいなくなるのである。彼女は独力で食いかつ学ばねばならない。それで私はこの子供のフランス語が、諸君に決して厭味のようにとられないことを祈る)
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コントラルト、という言葉をこういう文脈で見るのもまた喜八さんならではである。その声が、モンターニュ!と言っている姿は親にとってはたまらなくかわいかったのだろう。そのあとの長い長い言い訳が僕はとても好きだ。
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「山と音楽」よ
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