フランケンシュタインの夜/千月 話子
は 糧
静寂の闇に耳が聞く
羽音の正体を天使だと思い
今夜、私は人形に
ガラスの瞳を入れてゆくのです
この大人気無い腕を伸ばし捕まえる
白い羽根の感染者になる日
そのうち 私の掌が白々と明けて行き
金色の眼球を探し当て 窪みに差し込むと
私達は見つめ合い 飽きるまで見つめ合うのです
この朝は 壊れた昨夜を治すようにやって来て
ベランダに光り降る道筋に
私も傷を癒します
薄汚れたコンクリに落ちた金糸を混ぜて 今日は
彼女の髪を梳いてあげようかと思いながら
人型美
赤い花で飾った西洋窓から 美しい
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