フランケンシュタインの夜/千月 話子
 
は 糧


静寂の闇に耳が聞く
羽音の正体を天使だと思い
今夜、私は人形に
ガラスの瞳を入れてゆくのです


この大人気無い腕を伸ばし捕まえる
白い羽根の感染者になる日


そのうち 私の掌が白々と明けて行き
金色の眼球を探し当て 窪みに差し込むと
私達は見つめ合い 飽きるまで見つめ合うのです


この朝は 壊れた昨夜を治すようにやって来て
ベランダに光り降る道筋に
私も傷を癒します


薄汚れたコンクリに落ちた金糸を混ぜて 今日は
彼女の髪を梳いてあげようかと思いながら





   人型美


赤い花で飾った西洋窓から 美しい
[次のページ]
戻る   Point(17)