夜警/MOJO
 
ラバンの一員として歩哨に立ち、交代の者が来るまで眠ることは許されない。
 暗い天井の染みが地図のようだ。圧政に耐えかねて、約束の地カナンへ旅だった人々の、荒涼とした行路に想いをはせながら、眼はいっそう冴えてくるのだった。

 来なくても一向に差し支えないが、朝はやってきた。魍魎どもはいつの間にか去り、私は僅かだが眠ることができたようだ。
 私は目覚める直前まで女と一緒にいた。夢の話である。女は日当たりの良い部屋のベッドに身体をSの字に曲げ横たわっていた。その耳もとに女の名前を囁くと、女はSの字のまま手を伸ばし、人差し指の先で私の胸の辺りに触れてきた。もう一度名前を囁く。指先が伸びてきて私に
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