夜警/MOJO
 
んて寝ぼけたことをいう」
 私はしばらく彼等の会話を聴いている。彼等の表情は段々凶悪なものに変化してきた。ある者は赤く濁った眼がつり上がり、口が耳まで裂け、黄色い歯の奥が黒ずんだ赤だ。またあるものは頭部が異様に大きく、眼の黒い部分が胡麻粒ほどしかない。
 衆目に晒されて断罪。
 そんなキイ・ワードのような一節が私の心中に流れてきたが、なおもすると手足が弛緩してくるのが実感できた。つまりはもうすぐ眠ることができるらしい。しかし眠れる、と意識した途端に異形の者達の囁き声が壊れかかった冷蔵庫のモーター音の如く私の神経を刺激する。
 夜警である。
 私は眠れぬ自身をそう規定した。野営するキャラバ
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