夜警/MOJO
 
の影響は大きいのですか?」
「どうでしょうか、この教室では、あの本を読まれておいでになった方は、あなたが初めてです」
「時間はどれ位かかりますか?」
「小一時間ですが、後にご予定がおありですか?」
「いえ、そういうわけではないのですが」
 私は言葉を繋げずにいる。
「では、そろそろ始めましょうか」
 男は立ち上がり、私から受け取った淡い紫色の花束を祭壇の上に置いた。祭壇は、ヨガの行者のような、この瞑想方法を世に広めた人物の顔写真が、小机のうえに掲げられただけの簡素なものだった。
 男は祭壇に向かい、片膝を床に付け、眼を閉じた。左手は胸に置き、右手は虚空から何かを捕らえるが如く、顔写
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