夜警/MOJO
ってもいつまでも動き始めることができずに立ち尽くしてしまうことがおこり始めていた。当時は神経科で診察を受けることなど、まったく念頭はなかった。この何処からやってくるのか分らない厄介な現象を、追い払う手がかりがその瞑想者の話しにあるように思ったのだ。
その日、所用を済ませた私は、帰宅する途中で書店に立ち寄り、瞑想者の著作を買った。翌日には電話で面会の予約を取った。
数日後、私は花束を抱え、都会の片隅にある古びた集合住宅の一室の扉のまえに立ち、呼び鈴を鳴らした。応対にでた者が某と名のり、電話で話した人物と知れた。グレーのスーツを着た、植物質な印象の男だった。部屋のなかに入ると、シタールの音色が
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