夜警/MOJO
 
女の横顔のように思えてくる。暫らく見つめていると、横顔は陽炎がたったように輪郭がぼやけてきた。
 そういうことか。
 私は先の展開が予想できた気がして苦笑した。そのうち横顔が何か言いだすに違いない。陳腐な演出で登場するからには、それなりのことをしてもらいたい。横顔に孔が開き、それが目となり私をじっと見つめている。私も目を逸らさない。今夜の私は好戦的である。
 しかし横顔は何も語ろうとはしない。そろそろ焦れてきたころ、物音にはっと我に返った。枕もとに置いた雑誌が床に落ちたらしい。天井の横顔はただの染みにもどっている。拍子抜けしたその瞬間、開かれた状態で床に落ちた雑誌が、ばたばたと音を立て宙に浮
[次のページ]
戻る   Point(4)