昔の駄文「他者の発見」/佐々宝砂
 
私が他者を発見したのは、たぶん、私が周縁にいる人間だったからである。首都に住んでるわけでない。田舎に住んでるがその土地で生まれたわけではなく、なんとなく、除外されている。女である。子供である。地理的に周縁に住み、その周縁にある小さな共同体のさらに周縁に住み、男性中心の社会にとっては周縁にある女性の世界に住み、さらに周縁にあえて言えば下位に位置する子供の世界にいる。しかも私は趣味が風変わりだった。そして身体が弱かった。だから私はみんなと遊べなかった。子供の世界の中でもさらに周縁にいた。それが私だった。

子供という点を除けば今もそんなに変わりはない。むしろ、広い世界を知ってしまったので、周縁にい
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