海/葉leaf
 
へと集約されてしまった。眼球の生み出す草のような力場が後方へと水塊を覆ってゆき、尾びれによって裏返されて、魚の表面が光へと移ろった。断罪のような雲の季節。肉と内臓とは雪のように降りつみ、魚は集合からひとつの引き裂かれた羞恥へと位階をかえた。

魚の中の魚は海の中の海に固着したひとつの球面であり、そこからすべり落ちる幾重もの痛みを認可し続けている。また、魚の中の魚は海に溶け込んだ嘘のようなものを、そのかがやく内部へと傲然とみちびいてゆくので、魚はいつでも海をだましている。水で描かれた廃市の薬理。人は魚の中の魚にはふれることができず、ただそれが打ち出す光芒が人の手を這い上がってゆくだけだ。太陽系の
[次のページ]
戻る   Point(10)