ある旅立ち/MOJO
の妖精っていうのもなあ……やっぱりジルみたく小さいのかい?」
ネリオはボールに盛られた氷をトングで挟みグラスにいれ、ウイスキーを注いだ。それをスポイトで吸い上げ、ジルがグラスの代りにしている小さな貝殻に満たした。
「ネリオ、あなたは河童や天狗が小さいって言うの?」
ジルはそう言ってから貝殻の杯を一気に飲み干した。
「へえ、ああいうのも妖精なのかい? いや、おれ妖精って、ジルみたいにちっちゃくて、スコットランドやアイルランドの森の奥に棲んでるのかと思ってたからさ。ほら、水玉模様のキノコを家にしていたりする」
ジルの目は据わっている。
「ネリオ、私たちは人間の世界に棲んでるわけじゃな
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