ある旅立ち/MOJO
 
おれ、妖精なんてティンカーベルくらいしか知らないしさ」
「まあまあ、ネリオくんもぶっきらぼう過ぎると思うよ」
 アケミはネリオをたしなめながら、リモコンのボタンを押してCDデッキのスイッチをいれた。

「ネリオくんのグラスが鳴って現われたんだからネリオくんに用があるんだと私は思うけどな。ね、妖精さん」
 アケミが腕組みをしながら、ネリオと妖精を交互に見て言うと、妖精はしおらしい声で言った。
「突然おじゃましてごめんなさい。あたしジルっていうの。じつはまだ修行中の妖精です。ここへ来たのも修行の一貫なんです」
「あら、そうなの? ネリオくんはぶっきらぼうだけど、わるい人じゃないわよ」

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