ある旅立ち/MOJO
 

 妖精は憤然とした表情でネリオを見上げた。
「あなたって鈍いの? それとも意地悪なの?」
「へ? なんだそりゃ? いきなり目の前に現われたからとりあえず話しかけただけさ。おれと話したくなけりゃカウンターの端にでも行ってくれよ。それともおれが席を移った方がいいかい?」
 妖精の声色が怯んだ。
「だって、いきなり超有名なティンクの名前だされたら、つんけんしたくもなるじゃない。妖精といってもいろいろなんだから、あなただって、エリック・クラプトンと知り合い? なんて訊かれたらびっくりするでしょう?」
 ネリオは苦笑しながら爪弾いていたギターを壁に立て掛けて言った。
「そりゃそうだ。でもおれ
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