太一の成人式/MOJO
 
う。仕方がないので降りる。降りるとそこはやはり雑草が生い茂る野原で、真っ直ぐに伸びた一本道をてくてく歩く。どこかへ帰るようなつもりになって歩いて行く。そして目が覚めると医師の難しい表情と怯えたような母親の顔がある。
 本を読む習慣が付き始めていた太一は、あれは銀河鉄道に乗った太一を猫が引きとめたのだと考えた。あのまま乗車していたら、きっとカンパルネラのように死んでしまっていたはずだった。

 夜半に目を覚ました太一は、部屋の空気が重く粘っているいるように感じた。酔いが醒めて少し喉が渇いている。冷蔵庫で冷えているウーロン茶を飲みに階下のキッチンへ下りようとすると、掛け布団の下から猫がもぞもぞ這
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