太一の成人式/MOJO
案内状は記念品の引換券を兼ねていた。
数日後の夕刻、太一は中村に指定された駅前の居酒屋に赴いた。中村は太一がアルバイトに通う惣菜屋の店長である。店に入ると中村は既にカウンターの端の席に座っていた。殆ど減ってないビールのジョッキとお通しの小鉢がぽつんカウンターの上に置かれている。
太一は中村の隣に座りずっしりと重い記念品を中村に手渡した。
「はい店長、これで良いですよね?」
「ああ、恩に着る。約束通りに今夜は俺が奢るよ。新成人、なんでも食って飲んでくれ」
「では遠慮なく」
太一はカウンターに立てかけてあったお品書きを覗きこんだ。
カウンターには皿からはみ出すほど大きなホッケ
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