太一の成人式/MOJO
 
う応えてみたが、太一は顔がひきつるのを自覚した。しげるはそんな太一の様子を訝しげに観察していたが、二言三言おざなりな慣用句を繋げるとどこかへ行ってしまった。  
 しげるは太一の数少ない友達の一人だった。二人は同じ中学から同じ高校に進んだ。高校に進んですぐ、太一はひょんなことからいじめの標的にされた。そうなるとしげるは太一によそよそしい態度をとるようになった。いじめは執拗に繰り返され、太一は高校一年の夏休みが明けても登校しなくなり、そのまま退学した。それ以来二人は疎遠になった。
 太一は一張羅の内ポケットから案内状をだしてテントの列に加わった。長机に山積されたものは出席者への記念品だった。案内
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