白物家電/MOJO
 
やはりいまになっていえることである。
 私は投棄をあきらめ、荷台に白物家電を積んだまま再びペダルを漕ぐ。
 バイパス沿いの、竣工まじかの工事現場を通過する際、荷台のロープが解けてしまった。白物家電が道端にごろごろと転がり、工事作業員たちの訝しげな視線が私に集まる。
「おいおい、そんなものはさっさとゴミ捨て場に持って行け。夕方には産業廃棄物の業者がトラックで引き取りにくるんだぞ」
 現場監督らしき者が私に怒鳴った。彼は私を配下の作業員のひとりと勘違いしているようだ。
「明日、この建物は施主に引き渡すんだからな。そんな汚いガラクタを目立つことろに置いとくものじゃないぞ」
「了解しました」
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