白物家電/MOJO
」
私は建物の裏手に回り、木片や金属片で山になっている辺りに白物家電を投げ捨てた。
殺人事件の物的証拠はこうして秘密裏に処分されるのだ。
気づけば西の空は茜色に染まっている。もうすぐ産廃のトラックがこのゴミの山を引き取りに来る。
私は嬉しくてしかたがない。
人生、捨てたものではない。
しみじみとそう思ううちに涙が溢れてきた。
こんなふうに泣くのは久しぶりのことだ。
涙を流すのがこれほど気持ちの良いことだったとは。
私はゴミの山を前にしていつまでも泣きつづけた。
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