サボテン/霜天
 
一日はそのように始まって
一日はそのように終わっていく
きっと



部屋の隅、テレビの上
ほんの少しの暖かさ、の裏側で
空が重心を失って色を零していく
十時十分
並んでいる時計の街の角
そこだけは世界が切り取られている
いつまでも変わらない一日と
いつでも変わっていける一日


光は点になって、光は線になって
歩道橋の下、いつまでも繋がっていける人たちの
光線
眺めれば眺めるほど昨日よりも複雑で
手を伸ばして、手を伸ばしてすくい取る
光は手のひらの上で震えると
またどこかへ繋がろうとする



いつの間にか空っぽになってしまった手のひらのその寂
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