原風景/捨て彦
 
ここで降りようよ


    知らないところだよ








青く
それはほんとうに青く
ここには筆で掻き毟ったような雲と
焦点を目指して伸びていく高速道路


今日は至って空が高い平日に
人が一人死んだらしいと
思えるならなおさら良いと
話している最中はとても鼻先がむずがゆいのだ


こんにちわのタイミングを元気よく
外してくれたときにカラスがくわわと鳴いて
埃にまみれた
看板が壊れかかっている
おれたち以外は誰もいない
ラブホテルの
隅っこで





無人の




どこを見渡しても誰もいない
ラブホテル
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