原風景/捨て彦
テルの
建築資材が置いてある
廃材は危ない
空が
道路がきれいに突き抜けていく
ラブホテルの
建築資材が置いてある寂れたビルばかりだ
無人
車は道路沿いに止めた
無人の
ブレーキの音がどこかに通じて
角を曲がる
カーブの緩やかな様子に
風
カーブの緩やかな様子に反射する
無人の
カビのついたカーペットの
カーブの緩やかな様子に反射する
誰もいない
無人の
誰もいない
風が少し吹く誰もいない
誰もいない
ラブホテルの
二階で
たぶんというかかくじつにちかい
それぞれの人脈の網の目の広がり
おれたちがここで交差していることはだれも知らないまま
そんなことに大して意味を見出す必要もないまま
そうしてまた
初めて目が合うとき
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