セカチューのリアル<村上春樹/セカチュー/となり町戦争>とランボーの埋葬:切り貼り/がらんどう
 
。ここではことさらに、その「リアリティーの欠如」を批判するわけではない。むしろ、その「リアリティーの欠如」こそが「文学の核」なのではないか、というわけである。

文学の本質は「嘘」であるとオスカー・ワイルドは「虚言術の堕落」と題されたエッセイの中で語っている。嘘をつくことと詩を作ることはともに芸術であり、我々と関係のないものだけが美しいと。ワイルドは「芸術が人生を写すのではなく、人生が芸術を写す」のだとさえ語る。
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「あの人は頭の中で考えるうちに、他人になれるんだ。他の存在に。(・・・) それも彼女の力のうちなんだ。それこそが、フィクションに最も重要なことではないのかな? 読者を自
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