セカチューのリアル<村上春樹/セカチュー/となり町戦争>とランボーの埋葬:切り貼り/がらんどう
なみにこの年最も売れた本は『窓際のトットちゃん』で、『FOCUS』もこの年に創刊されている。)
これが、1976年の『限りなく透明に近いブルー』では更に希薄となる。村上龍の描くセックスとドラッグの76年はあまりにもウソっぽい。これを世代・地域や趣味・嗜好などの断絶として簡単に片づけてもいいものかどうか。つまり、その「虚構の」1976年は何のために提示されたのかということを考える必用があるのだ。
この「風俗小説」的なものにして「テレビを語らない」というモードはもっと着目されていいような気がするのだ。ポップカルチャーから積極的に距離を取ろうとする(大文字の)「文学」のもつ自意識の問題である。こ
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