セカチューのリアル<村上春樹/セカチュー/となり町戦争>とランボーの埋葬:切り貼り/がらんどう
る(同時に「よど号事件」の年であり「三島の割腹自殺」の年でもある)。その年にテレビでは「時間ですよ」や「細うで繁盛記」「ハレンチ学園」が流れ、「走れコウタロー」や「戦争を知らない子供たち」といった歌がヒットしていた。だが、村上の小説はそのような時代を描き出さない。背景に描かれるのは「ラジオ・洋楽・小説」である。この村上の同時代との乖離は、浦沢直樹の漫画『20世紀少年』と比較した場合により顕著となる。『20世紀少年』の一要素として読み取れるのは「テレビ(に代表される大衆文化)に規定された子供っぽい想像力」であるが、「70年」を大人として迎えた村上の主人公はそのような「子供っぽさ」をすでに欠いてしてし
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