小詩集「書置き」(六十一〜七十)/たもつ
そんな幸せ
が転がっていて
小人たちが
拾い集めている
あの時
霧雨に濡れていたのは
何だったのだろう
静かな
壁の近くで
+
ミスとミスターと
が徒歩でやって来て
言葉を書いて
殴るように書いて
本当に殴って
簡単な履歴で良かったのに
わたしには何一つ干渉することなく
これは詩だよ、これは詩だよ
と朗読を始め
それからなるべく沢山の
フルーツ風味のドーナツを食べて
これは奇麗だよ、これは奇麗だよ
と空地に咲いていた
セイタカアワダチソウの良いところを
何本か見繕って摘んで
徒歩で帰って行った
ミスとミスターと
であった
+
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