夜とまたたき/木立 悟
 




午後をわたる数羽の鳥が
いくつもの笑みを描いている
空と曇の鈍のさかいめ
まぶしく見つめる目のなかを
笑みはめぐり飛び去ってゆく


曇を映した滴にかがやく
水の壁のような森
遠い音や遠い色
答えを教えてくれなかった声
午後の肌をすぎてゆく鳥


貫く痛みは貫いてゆく
さみしいものを貫いてゆく
貫かれたことさえ気づかずに
さみしいものは歩き出す
傷からこぼれる光を踏みしめ
淡くまたたく足跡を置く


夜の間近に
見えてくる目
白くまぶしく
見えなくなる手
鳥は集まり 木に変わり
炎は分かれ 鳥に変わる


通りすぎたばかり
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