こっそりと白の時代〜たもつさん詩集に寄せて/umineko
 
たもつさんの詩集が届く。注文してから、すでに2ヶ月が過ぎていた。発送元には何の罪もない。メールで注文したのはいいが、自分のアドレスを間違って入力していたのだ。いつまでも連絡がこないはずだ。ネットは、すこぶる便利で、そして、あやうい。

たもつさんとは、一度、実は会ったことがある。ああ、うみねこさん、なんですね、と彼がいった。彼は人間であったのだが白い紙で出来ているようでもあった。お会いできて嬉しいです、と紙は彼のような声でいった。まったく、紙は油断できない。

彼の詩集を読む。彼はいつも紙の中に住んでいた。おそらく、彼は実体ではなく、紙のような存在として、混沌としているのだと思う。彼はファ
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