詩の立ち上がる瞬間/栗田小雪の日記を読む/山田せばすちゃん
 
しの若い兄ちゃんの部屋には小さな冷蔵庫がぽつんとあって、その中は食材よりもむしろビールだとかペットボトルのコーラだとかの飲料ばかりで占められてているのだろうけれど、そのリアルさに基づいたこのフレーズはそれだけで幻視を破り作品を着地させる機能をきちんと果たしていたりする。

あるいは2002年8月30日の「おもひで」
妊娠した子供を産む産まないという、もしかしたらどこかで聞いたことのあるようなストーリーが、おそらくは広島か岡山の方言である二人の台詞回しと、過呼吸の描写に象徴される間を詰めて詰めて緊迫感を表現する手法で表現される事でそこに詩が立ち上がって来ている。
その緊迫感を一気に弛緩させて
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