沈黙と怒り/小林レント讃4/渡邉建志
底を 舐める コウモリの
指の 先に コイビトノカゲ 憑いて いるから
僕は コウモリの 指ごと 引きちぎって
コイビトノカゲを 食べて あげるん だ}
息が荒くなっている。「コイビトノカゲ 憑いて いるから」。内容もはげしくなる。「コウモリの 指ごと 引きちぎ」るという。その激しさ。そしてなんとコイビトノカゲを食べてしまうのだ。「食べて あげるん だ」と言う。太字部の「あげる」が、いまの半狂乱の状態を鋭く示している。例えば(とんでもない安い例だけど)、「殺してあげる」って言って笑う殺人犯も、「あげる」を使っているではないか。そして食べられた「コイビトノカゲ」はたぶん僕から抜け出て他のコ
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