午後のむすめ/木立 悟
雨の日の花
川のなかに泣く
さくら色の虹
白と黒の道
遠去かる銀を畏れ
目をつむる距離をのばしてゆく
道はどこまでも速く
道はどこまでも高い
見えない炎のかたちを知ろうと
ひとつはひとつに触れていき
燃え上がり 焼け落ち
ふたたびみたび よみがえる
光を散らした跡の残る
荒れた午後の暗がりに
白と緑と黄に点る窓
明かりの楔をにじませている
きれいな水に
生まれながらの傷が浮かび
むすめは二本の指でなぞり
やわらかくゆるりと微笑んでいる
たとえ異なる地を歩んでも
ともに野をゆくしるしだから
月や星や遠い声
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