午後のむすめ/木立 悟
い声に
見せてあげてもかまわないのだから
大きな大きな珠を抱きしめ
じっと目を閉じ聴いている
在ること以外なにもない
静けさの静けさを聴いている
なにが浮かび
なにが沈む
誰のものでもないむすめのため
小さな小さないのちたちのため
風が荒れている
窓の向こうで
うす曇りの水色の
風が荒れている
滴が目の深くに落ちて
他の滴たちと遊ぶとき
見聞きしたことを語りあい
水の道をめぐるとき
小さな空と大きな地が
陽と星をうたいつづけて
なかば閉じかけた目の色に
傷の色を重ねあわせる
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