ある15歳の経路/小林レント讃1/渡邉建志
 

ああ こんなところに居たのか

僕の悲しみ




ひさしぶり


この詩は本当に好きです。可愛らしさと気持ち悪さがとても上品な形として、うまくまとめられたというか。前に夜の底を這っていたプラスチック・ソウルがありましたが、たぶん「僕の悲しみ」も似たようなかたちの不定形なのでしょう。ここでなんともいえないのが、最後の3行です。「僕の悲しみ」に呼びかける少年の声です。「ひさしぶり」です。どろどろのものがひきだしの中で手に付くんだから、気持ち悪いはずです。しかし、ひさしぶり、と呼びかける様に、気持ち悪いという感情のかけらも感じないのです。むしろ悲しみに対して優しい感情がある気が
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