ある15歳の経路/小林レント讃1/渡邉建志
 
狂し始める瞬間がそののんびりした時間の流れの中に、突き立っていく。「怒った叫びにきこえる!/笑ったようにきこえる!」狂っていくなかでさえ、叫んでいるときでさえ、歌を忘れてはいない。それによって余計に迫ってくる何かがある。迫った最後に ふ と落とす力加減が素晴らしいと思う。


結末

泣き声が 死ぬ
泣き声が 死ぬ 死ぬ
泣き声が 死ぬ!死ぬ!死ぬ!


いま 雲も死んだ?
いえ
ただ そこに 浮かんでいるだけです


死ぬと叫んだ後に、常体で短く叫んだ後に、つながるのは静かな敬体の口ぶりである。そのはげしい温度差の見事なこと!

そして絶対の静けさだけ
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