ある15歳の経路/小林レント讃1/渡邉建志
後者であり、これをレントSFなどと呼びたい。この系譜のいちばん上に来るのが「白い日」であったのかもしれない。このあとにはたとえば「名前のない風景」の強烈な電車の舞台が待っていることだろう。引用部を見ると、ここには構文上の遊びがある。のちに「微笑の風景」を経て「揺(yu)」後の図形的詩文に至る系譜の原点をここである。僕の個人的な好みでは、この崩れそうで崩れないぎりぎりの構文上の遊びが好きである。例えば、スクリャービンが和音を積み重ねていって無調に至る時、初期の調性ばりばりの時代はあまり面白くないし、後期の無調は僕にはまだ難しいけれど、中期の調性をぎりぎりの土壇場で守っている世界がこの世のものとは思え
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