少年の日の僕へ/桜 葉一
。
君の願いどおり、弟が生まれてきたけど、お母さんは女の子が欲しかったみたいだね。
だからきっと弟にも君と同じように、女の子みたいな名前をつけたんだよ。
君はゲームが好きだったね。
毎日何時間もテレビの前に座っていたね。
君は好き嫌いが多かったね。
給食も残してばっかりで、だから背が低かったのかもね。
君はおばあちゃんっこだったよね。
おばあちゃんと一緒にテレビを見たくって毎朝早起きしてたよね。
君は嘘が下手だったね。
気づいていないふりをしてくれていたけど、お母さんは全部お見通しだったみたいだよ。
君は恐がりだったね。
いっつもお母さんの布団に潜り込ん
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)