ふるえ ?/木立 悟
 


魂(たま)のかたちの悲しみに
五つの手のひらが添えられている
澪(みお)のようなかがやきを
大きな花が抱きとめる
素足の行方を
はばたきの行方を
抱きとめる


響きの夢と草のなかを
姿だけの波がやってくる
小さな毒が芽生え ふくらみ
白い家の燈(ひ)のように
闇の淵へと歩き出す
生きものを埋めるために運び込まれた
うす汚れた砂利のなかでさえ
どこまでも淡いかがやきを
かがやきつくすようにかがやいている


夜の奥で
原の一角がひかりざわめいている
風に途切れた歌を集めて
ふたりの子はすれちがい
互いに互いの背の羽を見る
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